BLOGTIMES
2010/08/08

そもそも「ウィルス作成罪」って何なのか

  law  malware 
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先日のタコイカウィルスの作者の逮捕騒ぎの時に、今のところウィルスの製造を罰するための法律がないという話があって、それで刑法改正の準備が進んでいるというニュースが載っていたので、法務省のウェブでどんな法律になっているのかちょっと調べてみました。

<サイバー犯罪>「ウイルス作成罪」創設へ 刑法改正を検討(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

コンピューターウイルスを使って個人情報を流出させるなどのサイバー犯罪を阻止するため、法務省はいわゆる「ウイルス作成罪」を新たに創設する刑法改正の検討に入った。ウイルスを使った犯罪が相次ぐ一方、これまでウイルスの作成や頒布を直接罪に問える法律がなかった。同種の事件は時間の経過とともに被害が飛躍的に拡大する恐れが強いことから、法務省は早期の法案提出を目指す。法務省が創設を検討しているのは、ウイルスを作成したり、ばらまくことを禁止する「不正指令電磁的記録作成罪」(仮称)。懲役刑を科すことも可能とする

法務省のウェブ非常に見づらいのですが、直近から探していくと「法務省:第163回国会(特別会)提出主要法律案」に「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」というものがあり、ここにある「不正指令電磁的記録に関する罪」というのが通称コンピュータウィルスに関する罪にあたるようです。法律的には不正指令電磁的記録と呼ぶんですね。

実際の条文

実際の条文はこんな感じになっています。

犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高度化に対処するための刑法等の一部を改正する法律(案)

第十九章の二 不正指令電磁的記録に関する罪
(不正指令電磁的記録作成等)
 第百六十八条の二
  人の電子計算機における実行の用に供する目的で、次に掲げる電磁的記録その他の記録を作成し、又は提供した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
   一 人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録
   二 前号に掲げるもののほか、同号の不正な指令を記述した電磁的記録その他の記録
  2 前項第一号に掲げる電磁的記録を人の電子計算機における実行の用に供した者も、同項と同様とする。
  3 前項の罪の未遂は、罰する。
(不正指令電磁的記録取得等)
 第百六十八条の三
  前条第一項の目的で、同項各号に掲げる電磁的記録その他の記録を取得し、又は保管した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

正直、「その意図に沿うべき動作をさせず、又はその意図に反する動作をさせるべき不正な指令を与える電磁的記録」の範囲がどこまでになるのか良くわかりませんね。

先日ちょっとジョークで書いた"rm -rf /"というスクリプトそのものは罪にはならないけど、それに工夫を加えて、例えば「エロ動画ゲット.sh」のように、故意にその動作を誤認させるような題名をつけたスクリプトを開発したりすると罪になるということは理解できます。

それに対して、例えば前述のスクリプトを「全削除.sh」という名前にしたとして、利用者が全削除の意味が理解できない、もしくは誤解をしていて、結果的に意図に反する動作をしたらどうなるんだろう。条文の「実行の用に供する目的」は故意のことを指していれば問題ないかもしれませんが、そこまで明確に書いてないのでちょっと心配。そもそも頒布されているソフトウェアが、実行の用に供する目的でないソフトウェアなんて存在しないわけで。まぁ、この例はちょっと極端かもしれませんが、Adwareにバンドルされているツールバー系のオプトインの部分とか、これを選択したら具体的に何が起こるのかが分かりにくいソフトウェアというのはとにかく沢山あるはずです。

このまま法案が通ってしまうとちょっと心配かも。このあたり法学部出身の友人とか、知人の弁護士にちょっと話を聞いてみたいと思います。専門じゃないので壮大な勘違いをしている可能性もありそうだし。

(追記)どうやらこれは罪にならないらしい

ウイルス作成罪創設に向けて国民に迫られる選択」によると、こういうのは罪にならないみたいです。法律用語はやっぱり難しいですね。


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