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抽象概念は具体例で学ばないほうがいい?

数学を学ぶときには例題を使うより抽象的な概念で学んだほうがいいということが報告されているようです。
ソフトウェアの学習についても非常に関連がありそうなので、原著を取り寄せて読んでみたいと思っています。
生徒が数学を学ぶときに、「現実世界」の具体的な例を用いることは有用でないことが米オハイオ州立大学の研究によって示され、米科学誌「Science」4月25日号で報告された。具体例を用いて数学的概念を学んだ大学生は新しい状況にその知識を応用することができなかったのに対し、抽象的な例で同じ概念を学んだ学生は、異なる状況に応用できることが多いことがわかったという。
直感的にですが、オブジェクト指向の学習なんかにも通じていそうな感じがします。よくあるのは例題そのものを丸暗記するように学習しちゃうから、問題の構造はまったく同じなのに、表層的な見た目をちょっとかえただけで解けなくなる現象を指しているんですよね。
† 思考法の問題なのかも
具体的例から一般的な法則を導くには帰納的に考えるしかないわけですが、元々数学という学問は演繹的に考えるから、いろいろな問題に対して適用が可能なわけです。だから、表層的な理解のためだけに例ばかり取り上げると、理解は固有の例に偏り、小さな法則をいろいろな局面に当てはめるための応用力が身につかないのではないかと思います。
えらそうに書きましたが、これは昔、僕の指導教授(数学科出身)が僕が演繹法が苦手な僕にその重要性を指摘したときのコメントでした。
† 参考
・ 抽象概念と数学学習 - Radium Software
・ 身近な具体例の利用は数学学習の助けにならない - いきいき健康 NIKKEI NET
・ 'Real World' Examples Don't Make Math Any Easier - HealthDay
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非常に刺激的な記事のご紹介ありがとうございます。
同じ概念を用いた別の文脈での問題へ応用できない結果が得られたからといって、「文章題から数学的概念を抽出することは極めて難しい」と結論づけるのは曲解といえるのではないだろうかと思いますがいかがでしょうか。
まず、モデルを現実世界にマッピングする方法の理解と、モデル自身の理解は
別物だと考えています。私はモデルを学習するのに、少ない例題で教えようと
するのだったら、モデル自身を最初から教えた方よいというというくらいの認
識なので、結果的にどちらも必要という立場で読みました。
ただ、モデルの話は消化不良になりがちなので、学習者のモチベーションが続かず
結果的には、少ない具体例よりも理解が進まないという弊害もあるとは思うので、
それで全員が救えるのかといえば、それは無理だとは思いますが。
仰りたいことはなんとなくわかりますが、そのあたりはご自身で反証をあげて、
議論すべき事かなと思います。
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